虹 |
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あーほら、藤真さん、虹、虹! おーホントだ。うわー見るのすげー久しぶりかも。 俺も自然の虹は久々かも。 何だよ、自然の虹って。 ほら、水撒いてるとうまい具合に作れるじゃないっすか。 まだンなガキみてーなことしてんのかよ。 な!ガキみてーって! あ、わり。 そうですよ。 ガキみてーじゃねぇな。ガキなんだな。 ……藤真さん、俺をガキ扱いして楽しいですか? 楽しいも何もねーだろ。ガキにガキって言うのは普通だろ。 二つしか変わんないくせにー。 その二つがでけぇんだっつの。俺とお前じゃ精神構造は二つどころの差じゃねーけどな。 おっさん。 ん?何言った?何かおかしなこと言ったのはこの口かー!? あだだだだだ!!!! 口だけは成長するもんだな。 痛い……。 いや、してないか。 まるで俺、ホントに駄目なヤツじゃないスかー。 ――ホントに駄目なヤツには言わねーよ。 ハイ? 何でもない。 藤真さんて、いつもそーやって誤魔化しますよね。 誤魔化す? はい。 誤魔化すことなんか何もねーけど? そーいうことですよ。 そーいうこと? そーいう言い方です。 そうかぁ? そうです。 誤魔化す、ねぇ。 誤魔化しますよ、何だって。誤魔化しがないのはバスケくらいなんじゃないですか。 ひとを詐欺師みたいに言うね。 詐欺師ではないと思いますけど……誤魔化すのはだますのと違うでしょ。 まぁそうだな。 誤魔化すんです。 んー。別に何も誤魔化してねーって。何を誤魔化すっつんだよ。 いろんなことですよ。 いろんなこと? 藤真さん見てると、そーやらないと生きてけないのかなって思うくらいスよ。 何だよ、それ。 難しいことは俺あまり考えたくないんでわからないっスけど。 わからないならどーして言う? わからないけど……感じるから、ですかね。 ふーん。 ふーんて、興味なさそ。 だってねーもん。 ねーもん、て、藤真さんのこと、俺言ってるんスよ? そりゃそうだけど、俺がそれを気にしたところで意味ねーだろ。 意味ねーって。 俺は別に誤魔化してる、なんて思っちゃいねーよ。たとえば俺も、お前のことも。 いや、そうかもしんないですけどね、藤真さんは実際いろいろ誤魔化してますって。 だから何を? たとえば! たとえば? 俺が、藤真さんを、好きだって言ったの、覚えてます? ……あ、あぁ……そんなこともあったっけな。 そういう言い方がまずは小さな誤魔化しっスよ。 ってもよ、お前、答えられるか、フツー!? 俺はそのフツーを乗り越えて好きだって言ったんです。それにはそれ相応に答えて欲しい。 我侭だな。 そうスかね。 そーいうのはさ、虹を見て、綺麗だなと言えるほど簡単なことじゃねーだろ。 じゃあ、誤魔化さずに、いつかは答えてくれますか? ……お前、今日はしつこいね、なかなか。 ずっと思ってたことだったんスよ。 ふーん。 藤真さん、ホントは虹の七色よりたくさん、いろんな感情持ってそうなのに、 持ってそうなのに? すぐ雲で覆っちゃうような、そんな感じが……俺にはするんで。 清田。 綺麗ですよ。確かに虹は綺麗です。けど、綺麗だけじゃない……と、思うというか。 お前、国語の成績、良かったっけ? あまり良くはない、スけど。 やっぱな。 やっぱなって何スか。 支離滅裂。 ンなことないです!俺は、俺なりに藤真さんを考えて! わかってるよ。 藤真さん。 清田。 はい。 だから、俺はお前をうざがんねーの。そんくらいわかれ。 は? 人間、本音だけじゃ生きられないってことを、お前もそろそろ覚えた方がいいな。 藤真さん。 何お前、顔真っ赤にしてんだよ。 でも、そーいう言い方はやっぱり誤魔化してる気がするんスけど。 なぁ清田。 はい。 虹って七色だろ。 はい。 アメリカでは実は六色だって知ってた? へ!? 六色なんだってよ。 え、だって虹は七色で虹じゃないスか! ま、そーいうふうになってんだって。六色なの。 マジすか……ちょ、だって、虹は七色で、 だから、俺は多分その一色が欠けてんだよな。だから、仕方ねーの。 はぁ……。 って、結局藤真さん、誤魔化してんじゃん!!! |
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